翌朝は 2人とも たっぷり眠って。

私が起きたのは 10時過ぎだった。


ぐっすり眠る 京一を ベッドに残して。

私は 静かに 朝食の準備を 始めた。


昨夜 何もしないで 寝てしまったから。


冷凍のご飯を 解凍して 卵焼きに 鮭に 温野菜。

味噌汁が 出来上がる頃 京一は 寝室から 出てきた。


「涼子。早起きだな…」

「おはよう。疲れ 取れた?」

「ばっちりだよ。何なら 今から 涼子を抱けるよ?」

「もう。京一さん…」


恥ずかしさに 頬を膨らます私を

フワッと抱き締めて 京一は バスルームに消えた。


「今夜も なるべく早く 帰るよ。」

「うん。食事作って 待ってるわ。」


病院に 行ってしまえば 帰れなくなるくせに…

でも私は 京一の気持ちが 嬉しかった。


鼻歌混じりで 京一の着替えを 洗濯して。

空っぽの冷蔵庫を 満たすため

食材の 買い物に 向かいながら。


私は ケーキを焼こうと 思い立った。


京一は 滅多に お酒を飲まない。

いつ 病院から 呼ばれても いいように。


その代わり 甘い物が好きで。

遅く帰って 食事はしなくても

スウィーツは 喜んで食べた。


早く帰るって 言ったけど。

久しぶりの 病院だから。


早く帰れるわけがない…


夕食は 残っても 後で食べられるように

ビーフストロガノフを 作ることにして。


夜食代わりの おやつに ケーキを作っておこう…


昨夜 少しだけ 素直に 気持ちを言えたから。

信じられないくらい 心が 軽くなっていた。


もし今夜 京一の帰りが 遅くなっても

私は 笑顔で 京一を 迎えられる。