オオカミボーイフレンド

私は事の真相を聞いて言葉を失った。
あれはただの弱いものいじめではなく、男同士の真剣勝負だったのだ。ただ、銀星のほうが強すぎて木下が一方的にやられてしまっただけで。


「……だから、銀星のことあんま誤解しないでやって欲しい。あいつ、見た目ほど悪い奴じゃねぇから」


そう訴える友幸の瞳は真摯な光をたたえていて、この人の言葉なら信じてもいいと思わせた。


「……でも、そうならそうと言ってくれればいいのに」


なぜあえて誤解させたままにしておく必要があるのだろう。
私の疑問に、友幸は困ったように笑って答えた。


「んー、まあ銀星も素直じゃねぇからなぁ。てか、ふたり遅くね?どこまで行ったんだろ」


「ちょっとその辺見てくる。友幸はここにいて」


「あっ、お姫様!?」


後ろから友幸に呼びかけられるが、よく恥ずかしげもなく「お姫様」だなんてあだ名で他人を呼べるものだ、といっそ感心した。