オオカミボーイフレンド

「……銀星は、木下を理不尽に傷つけた。それだけはどうしても許せない」


あの時のことを思い出すと今でも胸が痛くなる。私のせいで傷ついた木下のことを思うと、素直に自分の気持ちと向き合うことができなかった。


だが、友幸は意を決したように顔を上げ、私を真剣な目で見た。


「……あれな、ほんとは銀星からふっかけた喧嘩じゃねぇんだよ」


「え……」


「あの日、空き教室にオメガの1年の……木下、だっけ?あいつが乗り込んで来て、銀星にお姫様を解放しろって要求してきた。そして、自分が勝ったら要求を聞くっていう約束でタイマンを申し込んだ。銀星はもちろんオメガとは喧嘩しないってはっきり断ったけど、木下が”姫川のことを本気で好きなら俺と戦え。戦わないなら所詮その程度の気持ちだったってことで、お前は姫川に相応しくないと判断して、姫川を正々堂々と奪い取る“って挑発してきて……しかもお姫様が銀星よりも自分のほうがいいって言ったとかぬかしたから、銀星もブチ切れちゃってさ……」