オオカミボーイフレンド

「あんたも……私に構わず好きに行動していいよ」


「は?お前は馬鹿か。俺はお前とデートしてるんだ。お前の側を離れたりしねぇよ」


銀星は当たり前のように言って、前屈みになった私の背中を優しくさする。
その感触が心地良くて、私は思わず目を閉じた。


せっかくのデートなのに迷惑をかけられて、銀星もさすがに私に嫌気がさしたんじゃないだろうか。
こんな暗くて口を開けばかわいくないことばかり言う地味女よりも、理華さんみたいな明るくて気心の知れた綺麗な女性のほうがいいって、気付いたんじゃないだろうか。


そんなことをぐるぐると考えているうちに身体が傾いて、隣にいる銀星の肩にもたれかかる。
銀星はそんな私に何も言わず、汗で額に張りついた私の前髪をそっとよけた。
まるで昔お兄ちゃんがしてくれたみたいに。