オオカミボーイフレンド

友幸に促されて、銀星が私に手を差し出す。こんな人前で手を繋ぐなんて、それこそ本物のカップルみたいで複雑な気持ちになったが、今日はデートをするという約束だからと、仕方なく銀星の手を握った。


銀星は私の指に自分の指を絡めて、絶対に離すまいとするようにがっちりと握り返す。
銀星の手の大きさやゴツゴツした感触を改めて感じて、私はなぜか身体が熱くなった。
今まで何度も手を繋いできたのに、今日は何だか特別に思えた。


それからチケット売り場でチケットを買って、私達は施設の中へと足を踏み入れた。


「まずどこから攻める?」


理華さんが友幸の腕を引き寄せ、楽しそうにはしゃいでいる。友幸も理華さんと笑い合い、ふたりは仲のいいカップルに見えた。


「あのふたり、付き合ってるの?」


純粋な疑問を口にすると、銀星があくび混じりに答えた。


「いや。俺らとは中学の頃からの付き合いで、腐れ縁みたいなもんだ。理華は今はあんなんだけど、昔はかなり荒れててこの辺を仕切ってたチームの頭だった」


「……ふーん」