その時、始業を告げるチャイムが鳴り、私はさすがに戻らないとまずいな、と思った。
すると、銀星がドアを開けて周囲を見回し、私の手を引いて廊下に出る。
「教室まで送ってく。来ねぇとは思うが、俺か友幸と一緒の時以外は、3年の校舎には近付くな」
「……うん、わかった」
銀星がこんなふうに私の安全を気遣うようになるとは、意外だった。
ちらりと背後を見ると、空き教室の近くにある3年の教室のところに人だかりができていて、やはり何か揉め事が起きたことがわかる。
やがて自分の教室に辿り着き、私は銀星の手を離して「じゃあ、ありがとう」と一応お礼を言った。そのままそっとドアを開けて中に入る。
案の定、教室内は授業中ということを忘れさせるほど騒がしく、チョークを握る先生は私が遅刻してきたことにも気付いていない。
私は教科書や筆記用具を取り出しながら、デートって一体何をするんだろう、と考えた。
今まで恋愛に縁がなかった私には、デートなんてドラマの中の世界の話だ。しかも、その相手がよりによってあの銀星だなんて……人生何が起こるかわからないものだ。
そこまで考えて私ははっと我に返り、余計な思考を追い払って授業に集中した。
すると、銀星がドアを開けて周囲を見回し、私の手を引いて廊下に出る。
「教室まで送ってく。来ねぇとは思うが、俺か友幸と一緒の時以外は、3年の校舎には近付くな」
「……うん、わかった」
銀星がこんなふうに私の安全を気遣うようになるとは、意外だった。
ちらりと背後を見ると、空き教室の近くにある3年の教室のところに人だかりができていて、やはり何か揉め事が起きたことがわかる。
やがて自分の教室に辿り着き、私は銀星の手を離して「じゃあ、ありがとう」と一応お礼を言った。そのままそっとドアを開けて中に入る。
案の定、教室内は授業中ということを忘れさせるほど騒がしく、チョークを握る先生は私が遅刻してきたことにも気付いていない。
私は教科書や筆記用具を取り出しながら、デートって一体何をするんだろう、と考えた。
今まで恋愛に縁がなかった私には、デートなんてドラマの中の世界の話だ。しかも、その相手がよりによってあの銀星だなんて……人生何が起こるかわからないものだ。
そこまで考えて私ははっと我に返り、余計な思考を追い払って授業に集中した。

