「……姫川」
木下がまだ何か言おうとしたその時、チャイムが鳴って先生が教室に入ってくる。
木下は舌打ちして大人しく自分の席に着いた。
どうやら木下は同じヤンキーでも真面目な部類に入るらしい。
しかし、このクラスの生徒ときたら、先生が話しているのに席にも着かず、大声で友達と話したり、スマホをいじったり、漫画を読んだり……とにかくやりたい放題だ。
先生ももう諦めているのか、生徒達を無視しておざなりに話を続けている。
……やっぱり、この学校はどうかしている。
それもこれも、トップである王が校内の風紀を取り締まらないからだ。
昔は、こんな酷い有様の学校ではなかった。
そう、私の兄……姫川涼義が王だった頃は。
「美羽、俺教師になる。だから、もう喧嘩もやめる。俺みたいな生徒を守りたいんだ」
10年前、お兄ちゃんはそう言ってまだ幼い私の頭を撫でた。
木下がまだ何か言おうとしたその時、チャイムが鳴って先生が教室に入ってくる。
木下は舌打ちして大人しく自分の席に着いた。
どうやら木下は同じヤンキーでも真面目な部類に入るらしい。
しかし、このクラスの生徒ときたら、先生が話しているのに席にも着かず、大声で友達と話したり、スマホをいじったり、漫画を読んだり……とにかくやりたい放題だ。
先生ももう諦めているのか、生徒達を無視しておざなりに話を続けている。
……やっぱり、この学校はどうかしている。
それもこれも、トップである王が校内の風紀を取り締まらないからだ。
昔は、こんな酷い有様の学校ではなかった。
そう、私の兄……姫川涼義が王だった頃は。
「美羽、俺教師になる。だから、もう喧嘩もやめる。俺みたいな生徒を守りたいんだ」
10年前、お兄ちゃんはそう言ってまだ幼い私の頭を撫でた。

