オオカミボーイフレンド

そんな私を思う存分観察していた銀星は、ふいにニヤリと笑った。獲物を追い詰める時の獣みたいなその表情に、私は嫌な予感がした。


「デートするか」


「……誰が」


「俺とお前に決まってんだろ。俺とデートするなら、王として奴らの争いを止めてやる」


銀星は私を試しているのだろうか。
昔の私なら、大嫌いな銀星とデートなんて考えられないと思っていたかもしれない。
でも、今はその程度のことで銀星が自ら動いてくれるのなら、安いものだと思えた。


「……いいよ。そのかわり、ちゃんとどうにかしてよね」


溜息混じりに言ってそっぽを向く私に、銀星は一瞬驚いたように息を呑んだ。
だが、すぐにいつもの調子を取り戻して、言った。


「約束、忘れんなよ。ちなみに俺のは後払いだから」


「わかってるよ」