「……あんたって……」


私がずっと思っていた疑問を口にしかけた時、突然廊下のほうから怒号と共に何かが割れるような鋭い音がした。


「……何?」


「最近アルファとベータの間で争いが起きてるんだと。アルファの割合が多い3年は特に揉めてる」


「……それ、ほっといていいの?」


そんなことになっていたなんて全く知らなかった。1年はオメガかベータしかいないから、争いに巻き込まれることもなかったのだろうか。


だが、私の心配をよそに膝の上の銀星はあくびを噛み殺している。


「別に関係ねぇし」


「関係なくないでしょ。あんたはこの学校の王なんだから、生徒達の争いを止める義務がある」