オオカミボーイフレンド

木下がぽかんと口を開けて目を丸くする。
やがて冷静さを取り戻した木下は、顔を青くして声を潜めた。


「いや何言ってんのお前……!王になるってことは、この学校のトップ……志王銀星(しおうぎんせい)を、タイマンで倒すってことなんだぞ!?」


「それくらい知ってるよ。その為に私はこの学校に来たんだから」


私は再び本に視線を落とした。
だが、納得がいかないのか木下は私の腕を掴み、グイグイと引っ張る。


「やめとけって。いくらお前が強くたって、さすがに王には敵わねぇよ。あの人は入学してすぐに前王を倒して王になって、それから今まで何十人とあの人に挑んできたけど、一度も負けたことがないんだぜ?」


「……知ってる」


「だったらなんで……」


「それでもやるの。私がやらなきゃいけないの」


そう言って私は腕を掴む木下の手を振り払った。