「誰か、助けて!」


最後の力を振り絞り、お腹の底から声を出す。


「誰か……!」


喉が枯れるほど叫び続けて、私はとうとうその場に膝をついた。


……やっぱり、私を助けてくれる人なんて、いないんだ。


私にはお兄ちゃんしかいないんだから、お兄ちゃんがいなくなった今、私はひとりぼっちなんだ。


一体どれくらいそうしていたのか。
私が諦めかけた頃、突然扉がゆっくりと開かれた。
よかった、これで出られる、と思った時にはもう身体の力は残っておらず、私は前のめりに倒れ込んだ。


「美羽」


誰かが私の身体を優しく受け止めて、包み込むように抱きしめる。
その腕の中は居心地が良くて、ずっとこうしていたいとすら思った。