そんなふうに強い自分を演じなければ、ひとりでは生きていけなかった。
またあの時のように、真っ暗な体育倉庫で泣きながら誰かに助けを求めるような自分には、戻りたくない。


私はよろけながら何とか立ち上がり、扉に蹴りを入れた。何度も、何度も。
次第に足の感覚がなくなってきても、扉を蹴り続けるのをやめない。
やがて足の力がなくなり、今度は自分の身体ごと使って扉を破ろうとした。
肩や腕に痛みが走るが、気にせずに扉に向かって身体を叩きつける。


「はぁ、はぁ……」


……これくらい、大丈夫だ。


何をされたって、私の心が賢翔や私を見下していた女子達に屈することはない。
怖くなんかない。
そう自分に言い聞かせ、身体中の痛みに耐えていると、ふと脳裏に銀星の顔が浮かんだ。


その瞬間、堪えていた涙が一気に溢れ出す。


誰かに助けを求めるなんてしたくなかった。
それは、負けたのと同じだと。
でも、それは戦わずして負けを認めるのと同じではないのか。


私は意を決して、叫んだ。