だが、いきなり後ろから頭を殴られて、立っていられなくなり、倒れ込む。
抵抗したかったが、頭がクラクラしてまともに力が入らない。
私はそのまま意識を失った。


＊＊＊＊＊


気がつくと、暗くて埃っぽい場所に寝かされていた。
辺りを見回し、どうやらここが体育倉庫であるらしいと悟る。


まだ殴られたところが痛くて、身体に力が入らない。そのことが、先程殴られてからそう時間が経っていないことを私に知らせてくる。


「目ぇ覚めたかよ」


ひとりきりだと思っていたので、突然聴こえた声にビクッと身体が震えた。
入口の近くで賢翔が仁王立ちしてこちらを見ている。


「……なんでこんなことするの？そんなに私が気に食わないの？」


痛む頭を押さえながら、必死に賢翔を見上げる。賢翔は心底不愉快そうに私を一瞥して、はっと乾いた笑いを漏らした。


「そうだよ。ここから出して欲しかったら、もう二度と銀星さんには近付かねぇと約束しろ」


「向こうが勝手に近付いて来てるだけなのに、無茶言わないでよ」


賢翔は私の反論を無視して倉庫から出て行き扉を閉め、鍵をかけた。