私は言葉を失った。
銀星はお金持ちだから何不自由なく育ったのだと勝手に思い込んでいた。
でも、あんなに冷静さを失って私にすがりつくぐらいに、彼の心には深い傷があるのだろう。
考えてみれば、不良やってる時点で皆何かしら満たされない何かを抱えているものだ。
そのことに、今更思い至った。
「……なんで、そんなこと私に話すの?」
純粋に疑問に思って、聞いてみた。友幸は私に困ったような笑みを返し、お弁当の中身を拾い終えると立ち上がって伸びをした。
「君が君だから、かな」
そんなよくわからない言葉を残して、友幸は去って行った。
私が一体何だと言うのだろう。
私はお弁当箱を手に持って歩き出したが、背後に気配を感じてふと立ち止まる。
振り返っても誰もいない。
最近、誰かに見られていることが多くなった。
その時は、私が唯一の女子生徒だから珍しいのだろうとしか思っていなかった。
*****
放課後、私が用事を済ませてから教室を出て昇降口へ向かうと、すっかり人気のなくなった下駄箱に、待ち構えるように賢翔が腕組みをして立っていた。
「……」
私は無視して通り過ぎようとするが、賢翔に腕を掴まれる。
銀星はお金持ちだから何不自由なく育ったのだと勝手に思い込んでいた。
でも、あんなに冷静さを失って私にすがりつくぐらいに、彼の心には深い傷があるのだろう。
考えてみれば、不良やってる時点で皆何かしら満たされない何かを抱えているものだ。
そのことに、今更思い至った。
「……なんで、そんなこと私に話すの?」
純粋に疑問に思って、聞いてみた。友幸は私に困ったような笑みを返し、お弁当の中身を拾い終えると立ち上がって伸びをした。
「君が君だから、かな」
そんなよくわからない言葉を残して、友幸は去って行った。
私が一体何だと言うのだろう。
私はお弁当箱を手に持って歩き出したが、背後に気配を感じてふと立ち止まる。
振り返っても誰もいない。
最近、誰かに見られていることが多くなった。
その時は、私が唯一の女子生徒だから珍しいのだろうとしか思っていなかった。
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放課後、私が用事を済ませてから教室を出て昇降口へ向かうと、すっかり人気のなくなった下駄箱に、待ち構えるように賢翔が腕組みをして立っていた。
「……」
私は無視して通り過ぎようとするが、賢翔に腕を掴まれる。

