オオカミボーイフレンド

一方、殴られた賢翔は立ち上がって足早に立ち去り、友幸は私の隣にしゃがんで一緒にお弁当の中身を拾ってくれた。


「……ありがとう」


「どういたしまして。でも銀星のためだからな」


一応礼を言うと、友幸は苦笑いを浮かべて続けた。


「賢翔が失礼なこと言って悪かったな。あいつ、ガチで銀星に心酔してっから、お姫様に銀星を取られたみたいで気に食わねぇんだろ」


私は好きで銀星の女になったわけでもないのに、迷惑な話だ。


そんなことを思っていると、急に友幸が黙り込んだ。


「……どうしたの」


何となく気になって聞いてみる。
友幸は目線を地面に向けたまま、ぽつりと呟いた。


「この間、銀星が荒れてた日あったじゃん?あの日、銀星の母親の命日だったんだよな」


「……」