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「姫川、だよな?」
教室で読書をしていると、顔に絆創膏を貼った木下に声をかけられた。
「……何か用?」
私はちらりと木下の顔を見て、素っ気なく呟く。
「お前って喧嘩強かったんだな。女なのに、アルファの男子相手にあんな華麗に立ち回れるなんて、すげぇよ」
木下が興奮したように言って、顔を近付けてくる。
「お前ならアルファになれるんじゃねぇか?」
楽しそうに話す木下の言葉に、私の身体がぴくりと反応する。
「……アルファ?笑わせないでよ。私はそんなものに興味ない」
「そうなのか?もったいねぇなぁ」
私は本から顔を上げて木下を見た。
「私の目的は、王になることだから」

