しばらくそうしていると、ようやく銀星が私から離れた。


銀星の表情は落ち着きを取り戻し、不思議そうに私を見つめる。


「……お前、俺のことをどう思ってる?」


いきなり質問されて一瞬戸惑うが、私ははっきりと答えた。


「嫌い。大っ嫌い」


銀星は不機嫌そうに眉根を寄せると、「そうかよ」と言って目を逸らした。


自分で聞いておいてどうして怒るんだ。
そう思った私は、ふいに気付いた。


銀星が私の気持ちを知ろうとしたのは、これが初めてだった。
以前私のことを知りたいとは言っていたがそれは一方的なもので、私の気持ちなどお構いなしに人の心の中に土足で踏み込んで来た。
ただ自分の所有物として良いように扱うだけで、そこに情を感じることは一切なかったのに。


私は何故か頬が熱くなるのを感じて思わず銀星から目を逸らした。