銀星はよく見ると顔色が悪く、寝不足なのか目の下には隈が浮いている。
だが、先程よりは落ち着いたのか、その瞳は幾分か穏やかになっていた。


私は少しほっとして、身体の力を抜いた。


銀星は私の首筋につけた噛み跡を指でなぞると、静かに息を吐き出した。
そして、何も言わず私の身体をきつく抱きしめた。
銀星に抱きしめられたのは初めてで、私はどうしたらいいかわからず狼狽える。


だが、触れ合った胸から銀星の少し速い心音が伝わってきて、私は何故か銀星が小さな子供のように見えた。
そのせいなのか、私は銀星の背中に腕をまわし、さするようにそっと撫でていた。


普段なら、憎くてたまらない相手にこんなことはしない。
でも、理由はわからないけど今の銀星はどこか寂しそうに見えたのだ。
もしかしたら単に同情しているだけかもしれないけれど。