オオカミボーイフレンド

「……はぁ」


思わず、溜息がこぼれた。


やっぱり、この学校は腐っている。


私立大神高校。


生徒の9割がヤンキーであるこの学校には、狼の群れの階級社会を元にした、独特のカースト制度が存在する。


上から順に、特権階級であるアルファ、一般生徒のベータ、最下級のオメガ。


そして、この学校のトップである「王」。


それぞれ喧嘩の強さによってランク付けされ、ランクを上げるには自分よりも上のランクの生徒をタイマンで5人倒さなければならない。


それだけならまだいいのだが、この学校ではランクが上の生徒が下の生徒、とくに最下級のオメガをいじめてもいいという暗黙のルールが存在し、しばしば今朝のようなことが起きる。


本来ならトップである王がそういった悪しき慣習をやめさせるものだが、今の王は生徒達の行為を黙認している。


それは、いじめに加担しているのと同じことだ。


今の王の父親は国会議員で、かなりの権力を持っているらしく、教師達も王の言いなりになっている。


入学したばかりの私は当然オメガだが、女子生徒ということで今のところ酷い扱いは受けていない。
でも、それもいつまで続くかわからない。


私がそんな危険な学校に入学したのには、理由がある。


それは、ある男を倒す為だった。