「……そんなことがきっかけで、木下をあんな目に遭わせたの……?」


私は怒りなのか悲しみなのかよくわからない感情を持て余し、銀星をじっと見つめた。


「……さぁ、どうだろうな」


そう言って、銀星は唇を歪ませた。


冷えきった眼差しに射すくめられ、私は心臓が破裂しそうなほど激しく脈打つのを感じた。
銀星の顔が迫ってきて、私は思わずきつく目を閉じた。


乱暴にシャツをこじ開けられて、鎖骨の辺りに銀星の唇が吸い付く。
その痛いほどの強さに閉じていた目を開けると、銀星が顔を上げて今度は首筋を吸い上げた。


「なんのつもりなの……!」


この行為に何の意味があるのか理解できない私に、銀星が呆れたように説明する。


「マーキングみたいなもんだよ。後で鏡見てみろ」


「な……」


その口振りから、何となく恥ずかしいことをされたのだと悟り、頬がかっと熱くなった。
銀星はそんな私を底冷えするような冷たい瞳で見下ろして、私の首筋を指でなぞった。


「お前は俺の女だ。次に他の男に近付いたらこんなもんじゃ済まねぇからな」


そう告げた銀星はゾッとするほど美しくて、禍々しい雰囲気をまとっていた。