その時、銀星に強引に腕を掴まれて引き寄せられて、痛みに顔を顰めた私は間近で銀星の顔を見た。


「俺のもんに気安く触んじゃねぇよ。オメガごときが」


そう言った銀星の瞳からは恐ろしいまでの殺気と狂気が感じられて、私は思わず身体が震えた。


銀星は私に何も告げず、自分を取り囲む野次馬達に向かって言った。


「いいかてめぇら。この女は俺のもんだ。手ぇ出したらこいつと同じ目に遭うことになる。それを忘れんな」


野次馬達は静まり返ったまま皆緊張したように立ち尽くした。


私は木下の顔が見れなかった。
私のせいで、木下はこんな酷い目に遭ったのだ。


銀星はそんな私の身体を横抱きにするとどこかへ歩き出した。


あの空き教室に行くのだろうと頭の隅でぼんやりと思う。