……これ以上は、無理だ。
そう思った私は自分の腕を掴む手を何とか振りほどいて、一目散にドアに駆け寄り、教室を出た。
逃げるように廊下を走り、1年の教室がある校舎まで来て、ようやく立ち止まって息を整える。


「……っ、なんなの……」


理由はよくわからないけど、あのまま銀星といたら私の中の大事な何かが壊れてしまいそうだった。


胸がドキドキとうるさく脈打つのは、全力で走ったせい。


それなのに、私を見つめる銀星の瞳や私をかわいいと言って笑った顔、初めて私の名前を呼んだ時の静かな声……それら全てが脳裏に焼き付いて離れない。


私の知らないところで、私が変わっていく。


私はそれがとても恐ろしかった。