オオカミボーイフレンド

「離せ!私に触んな!」


叫んで暴れる私を銀星は不思議なものでも見るみたいに見つめ、やがてふっと笑った。


「お前、かわいいな」


「……は?」


信じられないことを言われて、私は動きを止めた。


昔から大人びていた私は可愛げのない子供だったらしく、大人から可愛がられることはなかった。
中学に入ってからは荒れて喧嘩ばかりして、男子からも恐れられる存在だった。


そんな私をかわいいだなんて言うのは、お兄ちゃんくらいだったのに。


「……ば、馬鹿じゃないの……?」


私は怒りに震えながら、自分の頬が熱くなるのを感じてぎゅっと目を閉じた。
かわいいと言われたぐらいで何を動揺しているのだ。
自分にそう言い聞かせて目を開けると、私を見つめる銀星の色素の薄い瞳と視線が交わる。


「美羽」


何かを噛みしめるように名前を呼ばれ、私達の周囲になんとも言えない甘い雰囲気が漂い出したことに気付いた。