オオカミボーイフレンド

二人きりになり、気まずい沈黙が流れる。
銀星の視線が私の身体の上を確かめるように動き、居心地の悪さを感じた私は顔を顰めた。


「こっちに来い」


「……」


明らかな命令口調。


私は銀星を睨みつけたままその場から動かず、命令を拒否した。


「……何の用かって聞いてるんだけど。用がないなら帰る」


そう告げて、ドアに向かって歩き出した私の肩を銀星が掴み、強引に振り向かせる。


至近距離で見つめられて私は咄嗟に顔を背けるが、銀星の手に顎を掴まれて引き寄せられ、唇を塞がれる。


「……っ」


まるで物みたいに扱われて腹が立った私は、手を振り上げて思いきり銀星の頬をぶった。
銀星の思い通りになるつもりなど微塵もない。
肩で息をしながら銀星を見ると、彼は何故か意外そうに目を瞠り、ぶたれた頬を手で押さえた。