男はドアを開けると「連れて来たぞ」と声をかけて、嫌がる私を無理やり室内に放り込んだ。


中には通常の机や椅子はなく、豪華な革張りの黒いソファと缶ジュースが無造作に置かれたテーブルがあり、4人掛けのソファに悠然と座る銀星と、1人掛けのソファの上で胡座をかいている金髪の少年がいた。


こちらを見つめる銀星と目が合い、私は目を逸らしたら負けだと言わんばかりに鋭い眼差しを向けた。
すると、金髪の少年が立ち上がってこちらに近付き、値踏みするように私の姿をじっくり眺める。


「……ふーん、てめぇが姫川かよ。今どき三つ編みしてる女子高生なんているか？」


まだ幼さの残る顔立ちだが目付きは悪く、大胆に制服を着崩した少年だった。


「おい、賢翔(けんと)、女相手にあんまガン飛ばすな」


私を連れて来た男が少年を窘める。


すると、賢翔と呼ばれた少年は先程までのガラの悪い態度はどこへやら、男に媚びへつらうようにヘラヘラと笑った。


「すいません、友幸(ともゆき)さん。以後気をつけます」


私はずっと疑問に思っていたことを口にした。


「……貴方達、一体何？」