「銀星さんならきっと上手くやってますよ」


「うん、そうだね」


賢翔の言葉に、私は頷いた。


*****


空き教室を出て自分の教室に戻る途中で、木下とばったり出くわした。


「木下」


「ああ、姫川」


私と木下は、以前のように話すことが増えた。


今は良き友人といった感じだ。


「今日も姫様姫様って言われて、すげぇな」


「別にすごくなんかないよ」


木下は「そんなことない」と言って、私をじっと見つめた。


「お前はやっぱすげぇよ。本当にこの学校を変えちまった。お前のおかげで、前よりも学校が楽しくなった。ありがとな」


そう言って笑う木下に、昔のアルファに怯えていた頃の面影はない。


「私は、私のやりたいことをしただけだから」


私は苦笑しながら言った。


それを聞いて、木下は「それでも、俺は感謝してる」と告げて、私達は微笑みあった。