「……にしても、あんたとふたりで呑気にお昼食べるようになるなんて、あの時は想像もつかなかったな」


私の言葉に、賢翔が顔を歪めて縮こまる。


「それは……ほんとに申し訳なく思ってます。こんなことしても許されねぇのはわかってますけど……俺は一生を姫様の為に捧げるつもりです」


「……もういいって言ってるのに。あんたはよくやってくれたよ」


「いいえ!こんなんじゃ全然足りないです!」


賢翔は頑なに私の下僕であり続けるつもりらしい。


実際、銀星も友幸もいなくなって、賢翔の存在のありがたみが身に染みている。


いつか友幸が言っていた、賢翔を下僕にしたほうが私にとってプラスになるという言葉は、こんな未来になることがわかっていて言ったのではないかと思うほどだ。


「それより、銀星さんは元気ですか?今日も会いに行くんでしょう?」


「……うん。元気にしてるよ。仕事は相変わらず大変そうだけど」


銀星は今、友幸の父親のボディガードをやっている。


何でも、銀星の父の悪事を暴くのに協力した見返りとして、ボディガードをするよう頼まれたらしい。