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昼休み、いつものように空き教室でお弁当を食べていると、賢翔が言った。
「それはしょうがないですよ。今や姫様は大神高校を治めた最強の王……もとい、姫なんですから」
自分のことのように得意げに頷く。
「……はぁ……まあ、これで学校が平和になってくれるならいいけどね。でも、カースト制度は廃止したんだから、王も姫もないでしょうに」
「それでも、やっぱりしばらくはトップが必要だと思いますよ。あいつら、喧嘩が強い奴の言うことには素直に従うから」
「……まあ、そうだね。いつか、トップがいなくても普通に穏やかな雰囲気になればいいな」
私はそう言って、ウインナーを口に入れた。
銀星から次の王になるよう頼まれた時、私は迷わず受け入れた。
私ひとりでは心もとない部分は、友幸と賢翔が力を貸してくれた。
友幸はもう卒業して立派に社会人をやっているが、在校時の友幸は本当に恐ろしかった。
情報屋である父親の持つ情報網を武器に、相手の弱味を握ってゆすりをかける様は、さながら悪魔のようだった。
今にして思えば、Wデートの時に相手に銀星を好きな理華さんを選んだのも、ああなることを見越してのことだったのではないかと疑いたくなってしまう。