「お前は、それでも俺の側にいると言ってくれた。ひとりじゃないと俺に教えてくれた。あんなに幸せな感覚を味わったのは、生まれて初めてだった」


きっと銀星もあの時、私と同じ感覚を味わったのだろう。
私にはそれがとても嬉しくて、涙がこぼれそうになった。


銀星は話しながら、私の頬を愛おしそうに撫でる。


「沢山傷つけてごめん。俺、お前の隣にいるのに相応しい人間になるために、変わりたい」


私を見つめる真摯な瞳に、昔の暴君だった頃の面影はない。


「銀星は、とっくに変わってるよ。変わりたいって思った時点で、もう前に進んでるの」


そう言って、私は銀星の手を握る指に力を込めた。


「ごめんね……私、銀星のことずっと誤解してた。お兄ちゃんが学校辞めさせられたのも、失踪したのも全部あんたのせいだって勝手に思い込んで……ほんとにごめんね」


私は銀星に頭を下げた。


銀星は「んなこと、気にしてねぇよ」と言って、私の顔を掴んで上に上げさせる。