「……そうだな。でも、あの人が行ってきたことは紛れもない罪だ。結局は、ああするしかなかったと俺は思う。だから、お前は悪くないよ」


「……あんたは、俺を恨んでねぇのか」


銀星が小さな声で呟く。


「恨んだりしないよ。お前は俺を助ける為に、大嫌いな父親に頭を下げてくれたんだ。むしろ、俺のほうこそごめんな。お前が孤立してたの知ってたのに、ひとりにしてしまって……」


「……あんたは何も悪くねぇよ」


「そうか。じゃあ、この件はお互いに言いっこなしってことで。それよりも、どうやってあの人の悪事の証拠を掴んだんだ?」


「友幸の親父が裏社会では名の知れた情報屋で、あの人のことを調べてもらったんだよ」


話題が変わり、二人の雰囲気が明るくなったのを見届けてから、私は自分の部屋に戻った。


銀星は、おそらく私を守るために父親を……家族を、切り捨てたのだろう。
私は銀星が失ったものの代わりに、彼に何をあげられるだろうか。
私の孤独を埋めてくれた銀星に、私がしてあげられることは何だろう。