男が振り下ろした鉄パイプを、銀星がかろうじて避けている。
怪我をしているのに銀星の動きは俊敏で、瞳は獰猛に輝き、決して諦めの色は見せない。


私はそれを見て我に返った。


……そうだ。銀星は強い。


こんな卑怯な奴らなんかに、絶対に負けたりしない。
だって、この私がお兄ちゃん以外で初めて負けを認めた男だもの。


その時だった。


「銀星さん!姫様!」


「銀星!」


叫びながら、賢翔と友幸が工場内に入って来て、銀星の元に駆け寄る。


「なんだてめぇら……ひとりで来いって言ったはずだぞ」


男がギロリと銀星を睨む。


だが、銀星は楽しそうにニヤリと唇を歪ませた。


「ひとりで来いって言われて馬鹿正直にひとりで来るわけねぇだろバーカ」


「てめぇ……!女がどうなってもいいのか!」