オオカミボーイフレンド

「……俺は、志王が家庭内で孤立していることを知っていた。何とかして助けてやりたいと思っていた。でも、結局父親の言うことに従うしかなくて、志王を見捨てたんだ」


それから、お兄ちゃんは押し黙った。


お兄ちゃんは、銀星のことで自分を責めて行方をくらましたのだ。


私は、銀星が時折見せた寂しそうな顔を思い出した。


昔の、人を力で捩じ伏せるしか知らなかった銀星は、父親の影響で出来上がったのではないか。


私は今すぐにでも、銀星に会いたくなった。
会って、その身体を優しく抱きしめてあげたい。


そして、誤解して銀星を憎んでいたことを謝罪したかった。


銀星はお兄ちゃんを学校から追い出すどころか、助けようとしてくれていたのだから。


「……お兄ちゃんのせいじゃないよ。それに、今の銀星はもうひとりぼっちじゃないもの」


私はお兄ちゃんの握られた拳にそっと手を添える。


お兄ちゃんは何かを確かめるように私を見た。