そのまま私の家に着くまで、私達は他愛もない話をした。


離れていた間のことを報告しながら、決して繋いだ手を離さなかった。


銀星は「今はやることがあるから、それが片付いたらちゃんと全部話す。だからそれまで待ってて欲しい」と言ってくれて、私は銀星のことを信じて待とうと思った。


家の前に着くと、私達は無言で見つめ合い、お互いになかなか手を離せず、私はそのことすらも幸せなことのように感じた。


だが、私の背後を見た銀星が、突然ぱっと私の手を離した。


驚いて銀星を見つめると、後ろから「……美羽?」という懐かしい声がした。


信じられない思いで振り返る。


そこにいたのは、重そうなスーツケースを手にした、お兄ちゃんだった。


「……お兄ちゃん……?帰ってきたの?」