今まで生きてきて、こんなに幸せな気持ちになったのは初めてだった。
好きな人に愛されることが、こんなにも心を満たすだなんて、知らなかった。


同時に、私は自分がずっと愛情に飢えていたことに気付いた。
両親は私に興味がなく、クラスメイトとも打ち解けられなかった私には、お兄ちゃんしかいなかった。
そのお兄ちゃんも、私を置いてどこかに行ってしまった。


私は多分、寂しかったのだ。


だから、お兄ちゃんの仇を取ることで自分の中のぽっかりと空いた穴を、埋めようとした。


だけど、銀星はそんな私を別の形で満たしてくれた。


「……ありがと、銀星。私と出会ってくれて」


今の自分の素直な気持ちを伝えると、銀星が息を呑む気配がした。
銀星は私の肩を抱く手に力を込めると、小さな声で呟いた。


「俺も、お前と出会えてよかった」


私は目に涙を溜めたまま、「うん」と頷いた。