「理華、もういい。悪かったな」


「銀星……」


「美羽、ちょっと来い。お前らはついてくんな」


銀星は理華さんに声をかけてから、私についてくるように促した。


「はいはい、ごゆっくり」


友幸はそう言って心配そうに私達を見送る理華さんの頭を撫でた。
賢翔も私に向かって「頑張って」と声に出さずに口だけで言った。


私は銀星の後ろを歩きながら、これから何を言おうか考えたけど、少し早足で歩く銀星の背中を見ていたら、考える必要なんてないと思った。
ただ、ありのままの気持ちを伝えよう。私にできるのはそれくらいだ。


しばらく歩くと潮の香りが鼻をつき、人気のない海岸に辿り着いた。
銀星はためらうことなく砂浜に降りていき、私も後に続いた。
昼間の砂浜は静まり返っていて、潮風が肌に心地いい。乱れた髪を押さえながら銀星の後を追って波打ち際まで行くと、ようやく銀星が立ち止まった。