ここに来る前に友幸から理華さんのことを聞いた。理華さんの父親は昔から銀星の父親と懇意にしているらしく、だからこそ銀星の父親が手を出す心配もないと、銀星も思ったのだろう。それで理華さんを頼ったのだ。


「銀星のことなんか、何も知らないくせに……」


なおも言い募る理華さんは、目に涙を浮かべていた。
だけど、私も譲るつもりはない。


「知らないよ。だから聞きに来たの。私は銀星のことを知りたい。そのためならどんなことだってするよ」


決意を込めた眼差しを向けると、理華さんは一瞬たじろいだ。
その隙を逃さずドアをこじ開けた私の前に、銀星が立っていた。


「……美羽……」


「……銀星」


銀星は昨日と同じ制服姿のまま、苦い表情を浮かべて私を見ていた。
銀星は私の後ろの友幸達にも目をやると、大きく息を吐き出し、理華さんの肩を叩いた。