その時だった。


「やめてください!」


女性の甲高い声が耳をつんざく。


振り向くと、ガラの悪そうな金髪の男が、女子高生の腕を掴んで下卑た笑いを浮かべていた。


「いいじゃん、ちょっと一緒に食事しようって言ってるだけだろ?」


「離して……!」


こういう輩は本当にどこにでもいるんだな。


私はそう呆れつつも、二人の元へと歩み寄る。


「嫌がってるじゃん。やめなよ」


私が声をかけると、男は「あぁ?」と鬱陶しそうに顔を上げてこちらを振り向き、その隙に女子高生が男の手をすり抜けて逃げ出す。


「あっ、この!……おい、てめぇのせいで逃げられちまったじゃねぇか!」