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翌日、私は学校に着いてすぐに空き教室へ向かった。しかし、ドアの鍵が閉まっていて人の気配がない。
それから、3年の教室を見て回った。3年生からじろじろと見られたけれど気にせず、廊下から教室内を覗く。
だが、銀星の姿はなかった。


「美羽ちゃん?」


後ろから声をかけられて、振り向くと友幸が驚いた顔をして立っていた。
私の様子から何かを察したらしい友幸は、「ちょっと来て」と言って私を人気のない場所に連れ出した。


「銀星ならしばらく学校には来ないと思う」


「……どういうこと?」


友幸の言葉に、私は耳を疑った。
友幸は言いにくそうに沈黙を置いてから、言葉を紡ぐ。


「昨日、銀星から連絡があったんだ。しばらく学校には来れないって。理由聞いたけど、それ以来ずっと無視されてる。……美羽ちゃんも、その様子だと銀星とは上手くいかなかったみたいだな」


「……」


昨日のことを思い出しながら、私は視線を下に向けて頷いた。
銀星の考えていることがわからない。だけどひとつだけわかるのは、銀星がひとりで何かと闘っているということだけだ。


私は顔を上げて友幸を見た。
友幸は私の次の言葉を待つように、こちらを見つめ返す。