「……お兄ちゃんのこと、憶えてたの……?」
震えながら目を見開いた私に、銀星は残酷な言葉を吐いた。
「兄貴みたいになりたくなかったら、もう俺には近付くな」
銀星はもう話すことはないとばかりに再び背を向け、ドアを開けて外に出る。待ち構えていた女性達のことも無視して、人混みの中に消えて行った。
私はその場に立ち尽くし、無意識にブレスレットを嵌めていた左手首を手で押さえた。
やっぱり、お兄ちゃんがあんなことになったのは銀星のせいなんだろうか。
でも、たとえそうだとしても、銀星が全て悪いわけではないはずだ。お兄ちゃんの学校に圧力をかけたのは、銀星の父親なんだから。
このまま銀星と別れるなんて嫌だ。無理やり自分の女にしておいて、ずっと側にいるなんて言ったくせに、理由も話さず勝手に別れたいなんて……そんなの許せない。
私は顔を上げてドアを開け、バーを出た。外で立ち話をしていた女性達を押し退けて、走り出す。
「銀星……!」
名前を叫びながら辺りを見回すが、求める姿はどこにも見当たらない。
結局、その日私は銀星を見つけられなかった。
震えながら目を見開いた私に、銀星は残酷な言葉を吐いた。
「兄貴みたいになりたくなかったら、もう俺には近付くな」
銀星はもう話すことはないとばかりに再び背を向け、ドアを開けて外に出る。待ち構えていた女性達のことも無視して、人混みの中に消えて行った。
私はその場に立ち尽くし、無意識にブレスレットを嵌めていた左手首を手で押さえた。
やっぱり、お兄ちゃんがあんなことになったのは銀星のせいなんだろうか。
でも、たとえそうだとしても、銀星が全て悪いわけではないはずだ。お兄ちゃんの学校に圧力をかけたのは、銀星の父親なんだから。
このまま銀星と別れるなんて嫌だ。無理やり自分の女にしておいて、ずっと側にいるなんて言ったくせに、理由も話さず勝手に別れたいなんて……そんなの許せない。
私は顔を上げてドアを開け、バーを出た。外で立ち話をしていた女性達を押し退けて、走り出す。
「銀星……!」
名前を叫びながら辺りを見回すが、求める姿はどこにも見当たらない。
結局、その日私は銀星を見つけられなかった。

