王である銀星の側にいれば、ベータの事件の時のように危険な目に遭うこともある。でも、そんなことは全て承知の上で銀星の側にいたいと思っているのに、今更何を言うのだろう。


「次は、賢翔やベータの時みたいに無事で済むかわかんねぇんだよ。お前はいくら喧嘩が強くてもただの高校生だ。俺だって、お前を守りきれるかわかんねぇ」


「銀星……本気で言ってるの?」


どうやら銀星が恐れているのは、ただの高校生では太刀打ちできないような相手のことらしい。
銀星はそんな相手と闘っているとでも言うのだろうか。


「美羽……お前は強くて、優しい。お前以上にいい女を俺は知らない。でも、俺はお前には相応しくない。もう二度と傷つけたくねぇんだ」


銀星は切なげに目を細めながら、笑っていた。
その笑顔に秘められた孤独が、私の胸を疼かせる。


「勝手なこと言わないでよ。相応しくないなんてあんたが決めることじゃない。私はあんたがいいの。それだけじゃ駄目なの?」


「俺に近付いたお前の兄貴がどうなったか、お前も知ってるはずだ」


銀星の言葉が、私の心を深く突き刺す。