だが、しばらくすると銀星は私の上から退いて、立ち上がって背を向けた。


「……銀星?」


私はソファから身を起こし、銀星の背中を見た。
先程まで銀星がまとっていた冷たい雰囲気は消えている。でも、銀星は私のほうを振り返らず、そのままバーを出て行こうとする。


「銀星、待って!」


私は慌てて立ち上がり、銀星のシャツを掴んで引き止めた。


「離せ」


そう言った銀星の声にはいつものような張りがない。一体何があったというのだろう。


「銀星……どうしたの?なんで急に私から離れていくの?まだ私の気持ちが信じられない?」


必死に追いすがる私に、銀星は溜息をついた。
さすがに鬱陶しいと思われただろうか。


不安になる私を、銀星がゆっくりと振り返った。


「……お前は、俺の側にいないほうがいい」


「……なにそれ?どういうこと?」