声のしたほうを見て、ドクンと心臓が跳ねた。


派手な格好の女性達が、一人の男に群がっている。


「ねぇ銀星、これからウチらとどっか行かない?」


女性が声をかけたのは、髪を銀色に染めて耳にいくつもピアスをした端正な顔立ちの学生で、長身でスタイルもよくまるでモデルのようだった。
木下と同じ紺色のブレザーを着ていて、一目で大神高校の生徒だとわかる。
あれほどに整った顔立ちであの髪色ともなると、やはりかなり目立っていて、すれ違う人々から好奇の視線を向けられているが、当の本人は慣れているのか全く気にする気配がない。


「今日は気分じゃねぇ」


低く、艶のある声ではっきりと口にする。


女性達はそんな冷たい態度にすらいちいちきゃあっと騒いでいる。


私は思わず拳を握りしめ、その男……志王銀星を睨みつけた。
そんな私の視線に銀星が気付き、冷めた瞳で私を見つめ返す。
私から彼までは結構な距離があるのに、大勢の人が行き交う中、彼は私から目を離さなかった。


私を真っ直ぐに見据えるその瞳に、私の中で何かがちり、と音を立てて燃え広がるのを感じる。
思わず彼のほうへと足を一歩踏み出した。