中に入ると、薄暗い室内にあるカウンター席に、見慣れた背中を見つけた。


だが、私は声をかけるのを躊躇した。


銀星の両隣に座る派手な髪色の女性達が、銀星にしなだれかかって妖しげに微笑んでいて、私は自分の中からふつふつと怒りが込み上げてくるのを感じた。


……銀星に触らないで。


そう叫びたくなるのを堪えて、私は銀星に近付いた。


「……銀星」


名前を呼ぶと、銀星がこちらを振り返った。


銀星は冷めた目で私を見て、言った。


「……何しに来た。もう二度と俺の前に現れるなって言ったよな?」


優しさを微塵も感じさせない冷淡な声に、思わず足が竦む。


それでも私は、めげなかった。