私はようやくお兄ちゃんからもらった大切な宝物を壊されたことを悟り、信じられない思いで銀星を見つめた。


銀星は、私がこれを大切にしていると知った上で、壊したのだ。


こんなことはしない人だと、信じていたのに。


だが、銀星はそんな私を見て失望したように溜息をつく。


「……お前も結局、他の奴らと同じだ。俺の持つ力にしか興味がない。危うく騙されるところだった」


「……なに、言ってるの?」


私は銀星の言葉の意味がわからなかった。


突然の銀星の態度の変化に、ついていけない。


「もうお前とは会わねぇ。二度と俺の前に現れるな」


冷たい声でそう言って、銀星は教室を出て行く。


……違う。銀星は何か勘違いをしている。


私が銀星を利用する為に、今まで彼の側にいたと思ったのだろうか。


私は銀星のことが本気で好きだと、伝えなければいけない。


……でも、銀星の気持ちを利用しようとしたことは、紛れもない事実だ。


私はその場にしゃがみこんで、床に散らばったブレスレットの欠片を拾った。
ひび割れた蝶のチャームを手に取り、涙を流す。


私が、銀星を傷つけた。


行き場のない想いを抱えたまま、私はどうすればいいのかわからなかった。