その後、保健室で木下の傷の手当てをして、ふたりで学校を出た。


重苦しい空気の中、口を開いたのは木下だった。


「……あいつのこと、好きなの?」


私は思わず木下を見上げた。
木下は感情の読めない顔をして、私を見ている。


私は木下に申し訳なく思いながら、頷いた。


「……そっか」


木下は、寂しそうに笑った。


私は、自分の決意を木下に伝えた。


「私が銀星を……あの学校を変えてみせる。もうオメガがアルファに虐げられなくて済むように。……だから、もう少しだけ待ってて」


木下は驚いたように目を見張ったが、何も口にしなかった。


*****


翌日、私は学校に着いてすぐに空き教室に向かった。
ドアを開けて中に入ると、電気が点いていなかった。