「木下……!」


強めに名前を呼んで思わず木下の身体を抱きしめると、ようやく正気を取り戻したのか木下が私の背に腕を回して「姫川……?」と言った。


「大丈夫。大丈夫だから」


そう言って、木下の背中を優しくさする。


「……ごめん……もう大丈夫だ……」


しばらくして、木下が申し訳なさそうに言って私から離れた。


銀星のほうを見ると、銀星は既にそこにはいなかった。
どこに行ったのだろう、と思いつつ、私は木下を支えながら立ち上がる。


「保健室行こう」


「一人で平気だよ……」


「いいから。銀星のことなら心配しなくていい」


安心させるように言って、私は木下を保健室に連れて行った。