オオカミボーイフレンド

「そっか……大丈夫ならよかった」


木下がほっとしたように笑う。


私はその笑顔を見て、胸が痛くなるのを感じた。


「木下……私のせいで傷つけてごめんね。もう、私には近付かないで」


「え……」


私の言葉に、木下が目を見開く。


私は木下の気持ちには応えられないし、せっかく銀星がいい方向に変わってきているのに、また前に逆戻りするのは嫌だった。
木下が私のせいでまた傷つくところを見るのも。


私は木下が何か言う前にその場を去った。


それから、木下は私に話しかけてこなくなった。


同じオメガの友人と楽しそうに話す木下を見て、私はほっと胸を撫で下ろした。


*****


昼休みになり、私は空き教室に向かった。


その頃には、もう迎えに来て貰わなくても自らの意思で空き教室へ向かうようになっていた。