オオカミボーイフレンド



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それから時は過ぎ、季節は梅雨に入った。
しとしとと降り続く雨の音を聴きながら、私は開いていた傘を閉じ、空を見上げた。


重苦しい灰色に染まる空からは、大粒の雨が降り注いでいる。


雨の日は嫌いだ。お兄ちゃんがいなくなった日も、雨が降っていた。


私は溜息をついて手首のブレスレットを撫でた。


その時、懐かしい声が聞こえた。


「……姫川?」


振り向くと、木下が傘を持ったままこちらを見て、立ち尽くしていた。


「……木下……」


私は驚いて木下に駆け寄った。


「怪我は……もういいの?」


「ああ……もう平気。姫川は……あれから大丈夫だった?」


木下は心配そうに私を見つめて言った。


「あ……うん。私は大丈夫」


そうか……木下は私がキレている銀星に連れ去られたところを見たきりだったから、ずっと心配してくれていたのだ。