オオカミボーイフレンド

「……そのブレスレット」


ふいに、銀星が私の手首に付けられたブレスレットに目をやる。
今まで、銀星がブレスレットについて何か言ってくることはなかったのに。


暑くなってきてシャツの袖をまくっているので、ブレスレットが目立つようになったせいかもしれない。


普通の学校なら先生に注意されそうなものだが、ヤンキーだらけの学校なだけあって皆アクセサリーを付けるのが当たり前なので、私も特に注意されることはなかった。


「……これ、お兄ちゃんにもらったの」


私は勇気を出して、自分のことを銀星に話してみようと思った。


「私のお兄ちゃん、かなり歳が離れてるんだけど、すごく強くて優しいの。昔、この学校の王だった人」


「……へぇ」


それがかつての自分の担任教師だと気付いているのかいないのか、銀星は曖昧に言葉を返す。