オオカミボーイフレンド

ふたりきりになり、急に緊張してきた私は、ちらりと銀星を見た。
銀星はソファに身体を預けたまま「お前も来い」と言って私を見つめる。
私は大人しく銀星の隣に腰を下ろし、お弁当を広げた。


銀星は何か食べる様子もなく、頬杖をついて目を閉じている。


開け放たれた窓から初夏の爽やかな風が入って来て、銀星の髪を揺らす。
私はそれに見蕩れて、やはり銀星は綺麗な顔をしているな、とよくわからない感想を抱いた。


私がお弁当を食べ終わる頃、銀星が目を開けてこちらを見た。


「……何?」


居心地の悪さを感じて私が聞くと、銀星が無言で私の肩にもたれかかり、そのまま私の手を優しく握った。


「……あんたはなんか食べなくていいの」


私はドキドキとうるさく脈打つ心臓を鎮めようと、必死に平静を装った。


「……昼飯はいつも食わねぇ」


「……そうなんだ」